肝細胞癌(HCC)は、肝硬変やB型・C型肝炎ウイルス(HBVHCV)感染などと
関連
が多い肝細胞癌類似の細胞より構成される上皮性悪性腫瘍である。
画像診断法として、
Dynamic CTでの早期(動脈相)で強い腫瘤のenhancement及び
後期(後期実質相・門脈相)での相対的な低吸収域化は
HCCとして典型的といえる。
治療法としては、外科的手術の他に
PEITPMCTなどの局所療法やTAE(科学塞栓療法)
が行われている。
今回はTAEの一例を紹介する。TAEAngio下で、腫瘍の栄養血管を
ゼラチンスポンジなどの塞栓物質で、抗癌剤の投与と合わせて塞栓し
腫瘍を虚血状態にして壊死させようというものである。

通常、肝の流入血管は80%が門脈血、20%が肝動脈血であるのに対し
HCCはほぼ100%の血流を肝動脈から得ているが肝動脈の分岐形式は
多様であって、この症例も希な例といえる。
腹部大動脈造影
肝動脈造影
上腸間膜動脈造影


左内胸動脈造影

 この症例は、CT上S8領域にHCCを認めたが肝動脈造影、上腸間膜動脈造影では
腫瘍血管は認めない。また、腹部大動脈からの流入も認められなかった。
S8領域に対する動脈の
Variationとして、
腎動脈からの分岐・横隔膜下動脈・内胸動脈・胃大網動脈などがあり
結局この症例の場合、左内胸動脈より血流を得ていることが分かり(矢印)
TAEとなった。