脳動脈瘤のコイル塞栓術


 臨床的にくも膜下出血が疑われる場合、頭部単純CTを第1選択とし
CT上でくも膜下出血と診断された場合、その原因となる血管異常を
検索する為に脳血管撮影が施行されます。血管撮影を施行し、原因が
破裂脳動脈瘤の場合、再出血予防の治療が必要となります。

 その治療法の1つとしてコイル塞栓術があげられます。
動脈瘤が比較的小さくて、その頚部が明らかで、かつ狭くなっていて
瘤内に血栓がない場合コイル塞栓術が適応と考えられます。

 カテーテルを選択的に動脈瘤の頚部まで進め、動脈瘤内にGDC
と呼ばれるプラチナ製の金属コイルを詰めて閉塞させてしまいます。

 コイル塞栓術は外科的手術と比べ、低侵襲で、動脈瘤周囲の正常
な脳組織または、脳血管へ、侵襲を与えることなく病変部のみを処置
出来ます。
また外見的には頭に傷を付けることがなく、入院の期間も短くてすみ
ます。
 しかし、コイル塞栓術は新しい方法のため、10年後、20年後といった
長期的な信頼性はまだ確立されていません。
また脳動脈瘤の周辺に発生した血栓、あるいはコイル自体によって
正常な脳血管を閉塞し、脳梗塞を来す危険性があります。
コイル塞栓術の手技による合併症(死亡率や後遺症の発生率)は
一般的には外科的手術と同等なものであると考えられます。