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〒285-8741 千葉県佐倉市下志津564-1
2014年2月1日より心臓血管外科主任教授を拝命いたしました本村昇(もとむらのぼる)でございます。1961年(昭和36年)3月生まれの53歳です。千葉県佐倉市にある大学病院で心臓血管外科を始めました。当院では長らく外科教室の一員として心臓血管外科手術を行って参りましたが、このたび新たに心臓血管外科学教室として独立し新しい教室として誕生致しました。この地に新しい臨床教室を開設するに当たりその重責に身の引き締まる思いであります。
心臓血管外科は外科領域の中でもリスクの高い部門です。何事も慎重かつ正確に患者さんの状態を把握することが大切です。もちろん手術での高い技術が求められます。皆様のご期待にも十分お応えできると思っております。さらには、できるだけ患者さんの体に負担をかけない手術を試みることも重要です。 冠動脈バイパス術(図参照)では人工心肺を使用せず心臓を止めることなく心拍動のままで手術を行うオフポンプ冠動脈バイパス術を進めています。弁膜症手術では患者さんの高齢化に伴い大動脈弁置換術では90歳を越える方も手術が可能となってきました。僧房弁手術では自分の弁を切り取って人工弁に取り替えてしまう弁置換ではなく、自己弁を残し修繕するだけで治してしまう僧房弁形成術を積極的に行うようにしています。
大動脈瘤などの大血管疾患では、腹部だけでなく胸部の大動脈瘤に対しても安全に手術することができるようになりました。
最近ではステントグラフトという折りたたんだ薄い人工血管をカテーテルを用いて大血管内に入れ込むことにより、体への負担を最小限におさえた手術が可能となっています。
さらにこれからの新しい試みとして、心房細動といった不整脈に対する手術、血液透析患者さんに対しても積極的に心臓手術を進め、糖尿病患者さんでの精密な血糖管理、等々さまざまな取り組みに全力を尽くしていきたいと思っております。
心臓外科は怖いところだと思われず、是非気軽に声をかけてください。よろしくお願い致します。
佐倉市は医学史上重要な街でございます。古くは順天堂発祥の地であり、江戸幕府の後押しにより蘭学が栄え、「西の長崎、東の佐倉」とも言われた所です。
近年では野球の長嶋茂雄氏の故郷であり、佐倉市の代名詞ともなっております。
大都会の喧噪から離れ、周囲の方々の人柄もとても良く、豊かな自然環境に囲まれてのびのびとした医療ができるところです。 一方で成田空港に近く交通の便にも恵まれており、今後ますますの発展が期待されております。
現時点では誕生したばかりの教室のため医局員もごくわずかですが、少数精鋭で地域の方々のため、日本のため、そして世界のために尽力できるよう全力を挙げて努力邁進していく所存でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
【略歴】
これまでの略歴を申しますと、岡山県西大寺市で生まれ、小学生時代に京都府南部の京田辺市に移り、京都市内にある洛星中高等学校から京都府立医大に進みました。昭和60年(1985年)に卒業し京都府立医大第二外科に入局、研修医を経て大阪の国立循環器病研究センター心臓血管外科レジデントとして心臓外科医の基礎を学びました。
研究留学では動脈硬化の研究のため米国ワシントンD.C.のジョージタウン大学に2年半滞在し、臨床留学としてシドニーのセントジョージ病院で3年間の手術修練を行いました。
2000年からは東京大学心臓外科に移り、冠動脈バイパスや弁置換などの成人心疾患手術のチーフとして働いてきました。この間、全国的な仕事として日本全体の心臓外科手術データベースを立ち上げたり、亡くなった方から善意の提供をいただいた心臓弁や血管を凍結保存する組織バンクの設立などを進めてきました。これまで続けてきた様々な仕事を通じて広げてきた大きな人脈を今後の診療に活かしていきたいと思っております。
心臓血管外科は循環器センターにおける外科治療を担当しています。
診療内容は、主に虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術、弁膜疾患に対する人工弁置換術、弁形成術、大動脈疾患に対する人工血管置換術、バイパス術、末梢血管疾患に対する血管内治療、血行再建術、下肢静脈瘤に対するストリッピング術、不整脈に対するペースメーカー移植術などです。
心臓大血管疾患に対する予定手術においては、術前に自己血を貯血し周術期の輸血回避を心がけ、人工心肺使用、心停止下の手術では、体温を下げず、常温あるいは軽度低体温とした身体に優しい手術(回復が早い、出血が少ない)を行っています。また、最近では大動脈瘤に対するステントグラフトを導入し低侵襲治療も行っています。
術後は、心臓リハビリテーション医師、看護師、理学療法士のチームアプローチにより、早期離床、早期心肺機能回復、そして早期退院を目指しています。