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模擬患者とは?

模擬患者さんと学生の実習風景

模擬患者とは?

模擬患者とは、医学部、薬学部、看護学部といった医療系の学生が患者さんとのコミュニケーションを学ぶために、患者さんの役割を演じるボランティアの方のことです。

模擬患者は、事前に決められたシナリオに沿って実際の患者さんと同じような症状を訴えて、学生との実技演習を行います。模擬患者は演技を行うだけでなく、演技後に適切なフィードバックを行うことで教育効果を高めます。

実習は教員・模擬患者さん・学生が参加して行います

なお、模擬患者はシナリオに基づいて患者の役を演じるものであり、実際の薬を服用したり治療を受けたりするものではありません。あくまでも学生のコミュニケーション力を磨くための相手役となっていただくものです。

模擬患者の重要性

近年では、医師や薬剤師といった医療従事者が患者さんと適切なコミュニケーションを取れることがますます重要になってきています。

もし、医療従事者のコミュニケーション能力が足りなければ、「医師や薬剤師の説明が分かりにくい」「どんな効果のある薬なのかわからない」といったことが起こりやすく、患者さんが適切な治療が受けられなかったり、患者さんの精神的な不安につながったりすることもあります。

患者さんによりそった医療従事者を育てるために模擬患者さんは重要です。

医療コミュニケーションの上達には経験やトレーニングを積むことが欠かせません。そのため、経験の浅い学生が医療現場に出る前に、適切な医療コミュニケーションができるようにトレーニングすることが非常に効果的です。模擬患者さんとの実技演習を行うことで、適切な医療コミュニケーション能力のある医療従事者を医療現場に送り出すことができます。

模擬患者さんとのトレーニングは本物の患者さんや学生同士のトレーニングにはない次のようなメリットもあります。

  • 本物の患者さんの治療に害が及ばない
  • 患者さん視点のフィードバックが得られる
  • リアリティのあるトレーニングを繰り返し行える
  • 適度な緊張感があり、学生の学習意欲が高まる

このように、模擬患者は患者さん本位の医療関係者を育てるうえで重要な役割を果たしています。

模擬患者の分類

模擬患者のことをSPと呼ぶことがありますが、これは英語の2つの言葉から来ています。

①Simulated Patient:模擬患者

相手方(学生)の状況に合わせて、臨機応変に演じることができるよう訓練を積み、比較的自由に幅広く演じることができる模擬患者のこと。主に医療コミュニケーション教育で必要とされます。

②Standardized Patient:標準模擬患者

決められたシナリオにもとづき、どの学生にも同じ患者像を演じることができる模擬患者のこと。主に試験などで必要とされます。

東邦大学薬学部では、現在のところは上記①と②の中間のように行っていますが、私たちはどちらも模擬患者(SP)と呼んでいます。

模擬患者の実演例

模擬患者さんと学生の実演例

薬局に来たお客さんが市販のお薬を探しているケース

学生:こんにちは。私はここで実習をしている東邦花子と申します。何かお薬をお探しですか?

お客:はい。頭が痛いので、痛み止めを探しているのですが。

学生:もしよろしければ、お客様に合ったお薬を探すお手伝いをさせていただきたいのですが。

お客:ああ、それは助かりますね。

学生:それでは、今の状態をもう少し詳しくお聞きしたいのですが、5分ほどお時間はよろしいでしょうか?

お客:はい、大丈夫ですよ。

学生:ありがとうございます。それではこちらにおかけください。今の頭の痛みはどのような痛みですか?

模擬患者になる人

基本的には誰でも模擬患者になることができます。

しかし、学生の教育に関わりますので、「今はダメでも、いずれこの学生も成長する。その可能性を摘まずにできるだけ伸ばすようにする」という学生の成長にあたたかい眼差しを向けることができることが何よりも必要です。

次のような気持ちのある方は、模擬患者に特に向いている方と言えるでしょう。

大学の授業に参加したい・若い人の役に立ちたい

模擬患者として大学の授業に参加することが可能です。模擬患者として参加された方の多くが「学生の成長を手伝えること」「学生と一緒に学びを体験できる」ことが嬉しいといった感想をもたれています。

医師や薬剤師の説明が分かりにくい

医師や薬剤師の説明が分かりにくいので、困っているという方も模擬患者に向いているでしょう。わかりにくいと感じたことをフィードバックしていただければ、学生への教育効果も高いだけでなく、模擬患者さんも医療従事者から分かりやすい説明を引き出すコツもつかめます。

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