| TOP | 見本園 | ハーブ園 | 薬木園八千代薬草園中毒事例 | 用語解説 |
東邦大学薬学部見本園

オモト

有毒
本州東海道以西、四国、九州の海岸部の山林、樹下に生え、中国にも分布する常緑多年草です。根茎は太くて短く横や斜めに伸びて、太い根を多数出しています。葉は根茎の頂点から叢生しており、暗緑色の皮質で光沢があり、広被針形、先は尖り、幅は狭く長さは30〜40cmの大きな葉です。5〜7月、叢生する葉の葉腋から肥厚した花茎を20cm近く伸ばし、淡緑色の小さな花を沢山つけます。秋には液果を結び、赤か黄色く熟し、中には種子は1〜3個入っています。
オモトは葉が常緑で、衰えず長寿であるという意味で、漢名では万年青と書きますが、和名では株が太いことから“大本”と呼ばれたり、江戸時代には老母草(おもとぐさ)と書いていたそうです。常緑の葉を老母に、赤い実を子に見立てて、老母が子を抱く姿に見なして“母人”(おもと)に由来すると、名前の由来には諸説あるようです。
オモト栽培の歴史は古く室町時代頃から観葉植物として栽培され、江戸時代には一大園芸ブームとなり、貴重な品種には異常な高値がつき、中には一芽百両というものもあったそうです。1883年には「金生樹譜万年青譜」を、現在の図鑑ともいえる本を著した人もありました。ブームは次第に武士や庶民から富裕階層へと移り、明治時代には、植木鉢にまで一鉢千円というものまで出たそうです。投機的な意味もあってか、一名では「金生樹(きんせいじゅ)」と呼ばれてました。現在では古典園芸植物として一部の愛好家の間では扱われています。
オモトは、転居の時、この盆栽を人より先に新居に移しておけば、方位の難を免れるといわれ縁起のよい植物と云われています。
オモトはサポニンを含み、溶血作用があり、薬用として強心、利尿薬として用いられますが、毒性が非常に強い有毒植物です。中毒症状としては呼吸、循環機能に障害が出て、嘔吐、頭痛、不整脈、血圧降下を起こし死に至るので、家庭では絶対に用いないでください。
学   名 Rohdea japonica 
科   名 キジカクシ科
生 薬 名 根茎⇒万年青根(マンネンセイコン)
葉⇒万年青葉(マンネンセイヨウ)
利 用 部 位 全草
利 用 法 禁忌
効   能 民間では葉を煎じて。たむしや疥癬に外用します。
成   分 根茎・葉に強心配糖体のローデキシン、ロデインを含有します。これはジキタリス葉の成分と似ているので、薬用としては、ジキタリスの代用として用いられますが、家庭では用いないでください。


オモト 花茎 液果 根茎

   戻る

 | TOP | 見本園 | ハーブ園 | 薬木園八千代薬草園 | 中毒事例 | 用語解説 |

東邦大学薬学部付属薬用植物園