PKCのトランスロケーションの観察(得田久敬 平成15年度卒業論文より)

【1】トランスフェクション

フラスコに80%コンフルエントのCHO-K1細胞を得ておく。培地を除き,PBS (5 mL) で洗った後,細胞を剥がすためにトリプシン (1 mL) を加え,すぐにこれを除去し5分間37℃にてインキュベートした。フラスコの中のCHO-K1細胞をF12-10%FBS培地で懸濁し,血球計数板を用いて細胞の濃度を調べた。濃度が6.0×104個/mLになるようにF12-10%FBS培地で希釈し,これを24ウェルプレートに500 μLずつ加え,24時間37℃でインキュベーターで培養した。  トランスフェクションはεPKC-GFP融合タンパク質が組み込まれたpTB701プラスミドをリポフェクトアミン法を用いて行うことにした。TE bufferで溶かしてあるpTB701 (0.5 mg/mL) 1.6μLを50 μLのOpti-MEM (serum free) で希釈し,ピペッティングにて穏やかに攪拌した。次に0.5 μLのLipofectamine 2000 (Invitrogen) を50 μLのOpti-MEM で希釈し,ピペッティングにて穏やかに攪拌した。2つのサンプルを5分間室温でインキュベートした後,これらを混合し,ピペッティングした。さらにこの混合液を20分間室温でインキュベートし,トランスフェクション誘導体を得た。 あらかじめ作っておいた24ウェルプレートのウェルに100 μLのトランスフェクション誘導体を加え,縦横左右に揺すって混合させた。その後48時間37℃でインキュベートした。

【2】トランスロケーションを起こすのに必要なdiC8濃度の閾値の決定

10.0 mgの diC8を2.91 mLのDMSOで希釈し,10-2 MのdiC8DMSO溶液を作った。これをさらにDMSOで希釈し,サンプル負荷時における終濃度の100倍になるようなdiC8溶液を調製した。この時のdiC8の濃度 [diC8] と調製法をTableにまとめた。続いて, 調製した各濃度のdiC8溶液 5 μLをOpti-MEM 195 μLで希釈し,200 μLのトランスロケーション用サンプルを作成した。 ウェルから培地を除き,PBS (500 μL) で洗った後にOpti-MEM (300 μL) を加えた。ここに200 μLのトランスロケーション用diC8溶液サンプル を加えた。細胞への負荷時におけるdiC8の終濃度もTable に示した。
その後,蛍光顕微鏡でGFPの蛍光を観察した。 5秒間毎に画像を取り込み,サンプル負荷後10分間観察を続けた。

[diC8] 10-2 M diC8 (μL) DMSO (μL) Total (μL) サンプル負荷時の終濃度
10-2 M 200 0 200 10-4 M
7.5×10-3 M 150 50 200 7.5×10-5 M
5.0×10-3 M 100 100 200 5.0×10-5 M
2.5×10-3 M 50 150 200 2.5×10-5 M
2.0×10-3 M 40 160 200 2.0×10-5 M
1.5×10-3 M 30 170 200 1.5×10-5 M
1.0×10-3 M 20 180 200 1.0×10-5 M
5.0×10-4 M 10 190 200 5.0×10-6 M

【3】トランスロケーションの光制御

論文準備中

参考文献

 

 


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