KPOキリンプラザ大阪

☆☆☆

高松伸(1987)

2010年、サントリーとキリンの経営統合計画が破談になったというニュースに、この作品を思い出した人も多いのではないでしょうか。コンサートホールや美術館をはじめ、メセナ事業に最も熱心な日本企業と言ってよいサントリーが、キリンと統合しない道を選んだのは、胸をなでおろすべき結末と言えるでしょう。

日経BPのサイト上の記事によりますと、「キリンホールディングスは建物が老朽化したことなどから、2007年10月に施設を閉館した」のだそうです。老朽化ですか?たった20年しか経っていないのに!?要するに、使い捨てってことですね。

ただでさえギラギラした大阪の道頓堀に、ひときわ輝く光と金属のオブジェ。これを傑作と呼ばずして何をそう呼びましょうか。私は一度しか実物を見る機会がありませんでしたが、考え抜かれたプロポーションと言い、ディテールの美しさと言い、鬼才、高松の作品中でも出色の出来栄えでした。

これは建築物ではなく、美術品です。それも、人類の創り出したものではなく、われわれとはかけ離れた知性を持つ地球外生命体が、何かわれわれの想像の及ばない目的で置いて行ったとしか思えない、モノリス的物体なのです。

写真なし


ARCHITECTURE HOME