国立京都国際会館

★★★★

大谷幸夫(1966)

地下鉄烏丸線を北の終点まで来ると、京都の街の華やぎも届かず、ひっそりとしています。この国立京都国際会館は、京都賞授賞式をはじめ、さまざまな学術会議の場として使用されています。地球温暖化防止京都会議が開かれたのもここです。用件のない者は立ち入れないので、内部見学を希望しても断られます。私は裏からこっそり忍び込みましたが、館内のレストランに行きますとでも言って入れてもらうのが上策だったかもしれません。

公開設計競技によって、当時新進気鋭の若手であった大谷の案が選ばれました。このコンペは、菊竹清訓案をはじめ、敗北した計画にも優れたものが多かったそうです。建物は、その後何度か増築を経ており、それらもみな大谷の設計です。南西側に池と庭園が配置され、夕陽を浴びた姿が池面に映るさまがひときわ美しいので、訪れるならば夕刻にかぎります。さらに背後には広大な宝ヶ池公園がひろがり、北西には村野藤吾の遺作、グランドプリンスホテル京都が隣接しています。実に贅沢な空間と言えるでしょう。

合掌造りを模した特有の外観を持つことに加え、内部空間にも垂直の線があまり見あたらない点に特徴があります。近現代とは異質でありながら、何ら奇をてらったところがなく、むしろ中世的な趣があります。広大な敷地と相俟って、建物としてのみならずひとつの風景としての統一性が感じられ、たいへん感動的です。

国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館国立京都国際会館

<写真はクリックすると拡大します>


ARCHITECTURE HOME