みなとさかい交流館

★★

高松伸(1997)

境港の街は、米子から伸びる弓ヶ浜半島の尽きる位置にあり、地の果てまで来たという感慨を生じさせる場所です。対岸の島根県に至る境水道大橋は、40メートルという信じ難い高さを誇り、道がそのまま空へと消えてゆくかのようです。海上の道は隠岐へと通じ、そのフェリーターミナルとなるのがこのみなとさかい交流館です。同時にここは、JR境線の終着駅であり、さらに、数多くの妖怪オブジェが並ぶ水木しげるロードの起点でもあります。

そのような最果ての地に置くにしては、これはまた実に大胆な物体です。砕け散る一瞬前の波のような曲線を描く低層部の上に、4本のシリンダーが立ち並び、異様なまでの無機的なオーラを放っています。反対側を見れば、こんどは角張った7本のガラスの塔です。高松の作品は、京都や大阪の濃密な市街地にあって、周囲の街並みとのコントラストが激しいインパクトを産み出してきたものですが、こうして何もないところにひとりぽつんと置かれてみると、これはこれでまた強烈な自己主張をしており、「環境との調和」などという安易なキャッチフレーズを嘲笑するかのようです。

ついでながら、すぐ近くに、同じ建築家による境港市文化ホール・シンフォニーガーデンがありますが、こちらは残念ながらかなり荒れ果てており、疲れ切ったコンクリートは、果たして多少なりとも使われているのだろうかと疑問を抱かせるほどでした。

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