大阪市立大学学術情報総合センター

(1996)

大阪から阪和線を関西国際空港方面に南下してゆくと、突如左手に現れるスターリン様式の建築がこれです。大阪の市街地のど真ん中にあればそれほど目立つこともなかったでしょうが、このあたりは住宅地で周囲に高層建築が少ないため、かなりの異様さで目を引きます。

それにしても、どうしてこれは「スターリン」を感じさせるのか、それが問題です。私の見るかぎり、高さも高いが横幅も広く、いかにも「立ちはだかっている」印象を与えることが一点、そしてそれ以上に特徴的なのが、縦の線を強く意識させるそのデザインです。これは、窓のフレームを横に狭く縦に長く取っていることに加え、横方向は凹凸が多くて一直線に見えないのに対して、縦方向は下から上までぐっと直線が伸びているからでしょう。

ちなみに大阪市立大学のこのキャンパスは、太平洋戦時中に兵舎に転用されたり、終戦後は進駐軍に接収されたりと苦難の歴史を歩んだそうです。ようやく平和な時代になったら今度はスターリンが来たとは、相当な皮肉と言えましょう。

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