パレスサイドビル

日建設計(1966)

子供のころ、皇居の前を車で通るたびに、思い悩んだものでした。「あの白い円筒の中には、いったい何が入っているのだろう。」白い円筒はあまりにも立派で、人の注意を惹かずにはいないのです。私の生まれ育ったマンションには、あれほど太くはないにしても、なかなか立派な煙突がありました。焼却炉があったからです。燃えるゴミを焼却炉に燃やしに行くのは、楽しい仕事だったような記憶があります。「きっとあれも、煙突にちがいない。大きなビルに、焼却炉と煙突は欠かせないのだろう。しかし、だとするとわからないことがある。ほかの多くのビルに煙突が見当たらないのは、どうしたわけだろう。もしかすると、煙突が外から見えるようになっているのは、何か特別なことなんだろうか。」疑問は容易には解消されませんでした。そこにあるはずの、巨大な焼却炉の存在を我が目で確かめるべく、あるとき意を決して、あの白い円筒の下に自ら足を踏み入れてみるまでは。

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