多治見中学校

★★

象設計集団(2001)

象設計集団の作品を見学したのは、ここが初めてです。期待を裏切らぬ面白い出来栄えでした。象設計集団は、代表作の名護市庁舎に見られるように、南の島のヴァーナキュラー風とでも呼びたくなるような作品を多く手がけています。そしてその背後にあるのは、一個の建築物を造るというよりも、むしろひとつの集落や村、つまり共同体を創造するという発想ではないかと思います。

この多治見中学校は、写真を見ればすぐにわかるように、植物に満ち溢れています。それは、ふつうの意味で自然環境がよいとか緑が豊かだというのとは、もはや全く違うレベルです。中庭も、屋上も、渡り廊下も、それこそ植物だらけで、まさに自然が押し寄せてきた感じです。こうなると、どこまでが建物の内部で、どこからが外部だという考え方が成り立たなくなります。植物と建物が混然一体となった中に、あちらに教室、こちらに体育館といった具合に人々の集う場が点在し、そしてその全体がひとつの共同体を構成しているのです。

ここには、オフィスやホテルのような整然とした秩序もなければ清潔感もありません。中学校という用途を考えると、それもまたたいへん望ましいことだと思います。とりわけ教室などは素朴そのもので、「お金はないけど勉強がしたい」という発展途上国の学校のような雰囲気です。こういうところで育つ子供は本当に幸運です。

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