ウィンズ米子

日本競馬施設(2000)

米子、境港エリアで見るべきものといえば、一に菊竹清訓、二に高松伸、三、四がなくて五に村野藤吾の米子市公会堂、と思っていたら、米子空港手前の左側に突如、未来要塞風巨大建築が姿を現すではありませんか。これはいったい何なのだ、と急遽、車を向けたのでした。

ウィンズ米子はJRAすなわち日本中央競馬会の施設です。しかしここは馬が実際に走る場所ではないという事実は、この要塞を競走馬が疾走する勇壮な姿を想像して期待した人には残念な話でしょうが、たかだか場外馬券売場にかくも壮大な建築物を作るのかと考えれば、別の意味で驚愕の度合いを倍増させると言えるでしょう。田舎のわりに警備が少々ものものしく、写真撮影も、ここらへんはいいけどあっちはダメ、こっちもダメという具合だったのは、無駄な公共建築云々の取材と思われたからかもしれません。ちなみにJRAのサイトによると、日本中央競馬会は政府全額出資の特殊法人であり、「公共性の強い法人で農林水産大臣の監督下に置かれています」。

この施設の設計者は「日本競馬施設」とあり、こちらはいちおう株式会社ですが、社長をJRAから迎え、JRA分館ビルに本社を構えるファミリー企業です。それはさておき、ではその会社にこの巨大作品をデザインした建築士がいるのか、それとも設計には他所のデザイナーが関与しているのか、このあたりはよくわかりません。尖ったものや丸いものをうまく使いこなして大規模な作品をまとめ上げ、いわゆるギラギラのハイテック建築とは一線を画しつつも未来風の雰囲気を創りあげているところに、強いて言えば六角鬼丈風かなあという印象を持ちました。

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