気管・気管支の偏位、狭窄、閉塞の原因には外傷、腫瘍性病変、心血管系の異常などがあげられるが、これらの影響による気管壁の連続的な動きの描出は従来の検査法では困難である。そこで我々は、呼吸時の気管をダイナミックCTで撮像することで気管の各呼吸相での情報を胸部外に提供できるか検討したので報告する。
@対象とする気管の位置確認のため気管CTを撮像する。 AダイナミックCTは対象とする気管レベルで吸気と呼気でデータを収集する。 B収集した画像から気道面積を測定し、呼吸よる面積変化をグラフ化する。 C連続した画像はシネモードで表示を行う。
管電圧 120kV 管電流 200mA スキャン時間 1sec スライス幅 5mm
@弛緩性の気管壁 : 2名気管憩室 : 1名気管欠損(術後) : 1名 A気管狭窄腫瘍 : 4名損傷 : 3名気管切開後 : 2名(うち1名はステント留置)交通事故 : 1名(ステント留置)
@気管壁弛緩症例では気道面積は最も壁の弛緩した部分 が拡張することにより変化することが確認できた。 A気管狭窄症例では狭窄の度合い、狭窄部の変化を呼吸相ごとに描出できた。 B金属ステント挿入症例ではステントと隣接臓器との位置関係も掌握できた。 以上から、シネモードで表示することで容易に気管壁の動きを想像でき、ステントの隣接臓器に及ぼす影響の観察にも有効であった。