3D-Real-IR法を用いた膝関節における描出の検討
          東邦大学医学部付属大森病院 中央放射線部

      ○大久保卓史 小島治朗 菊地英夫
      東芝メディカル 松原智子 広瀬久美子    東芝那須工場   高井博司


目的
 3D Real-IR法を用いた撮像にて3Dデータ収集し画像処理装置
ALATOVIEWにて膝関節における描出能の向上を試みた。
          


【使用機器】
   東芝製 MRI装置 EXCERLART with pianissimo(1.5T)
   東芝製 独立型画像診断装置 ALATOVIEW
   日興ファインズ製 MRIファントム90−401型

【方法】
   
Real画像再構成では、再構成したあとの信号強度の正負を維持しているので
   IRパルスによるT1コントラストを正しく反映することができる。
   今回我々はスライス厚1mmにて3D Real−IR撮像を行い、さらに得られた
   画像データを用いてALATOVIEWのMRP処理にて任意断面の画像観察を
   行った。



絶対値再構成法
Real再構成法


験その1:T1条件検討
  
ファントムを撮像して、1番C/Nの良い撮像条件を検討した。

使用シ−ケンス  FSE3D10-12  TR/TE=1500/10  FA=90/180  NS=8  ST=2mm
            FOV=25  MX=224  NAQ=1  NW=RO  Time=4min47sec  **:リアル



実験その1:TI条件検討
 
ファントムを撮像して、1番C/Nの良い撮像条件を検討した。
       


実験その2:TR条件検討
TIを600に固定してTRを振り、各サンプルの信号値を測定した。
TI=600に固定し、TRを変化。(その他条件は Iの実験と同じ)



実験その2:TR条件検討
TIを600に固定してTRを振り、各サンプルの信号値を測定した。
       


実験その3:ボランティアでの条件検討
ファントムでの実験を踏まえて、画像コントラストと撮像時間を検討した。
        


実験その3:ボランティアでの条件検討
          最終的な撮影条件
             FSE3D10-12(Real-IR 3D)
             TR/TE=800/10 TI=600
             FA=90/180
             NS=40
             ST=1mm
             FOV=15cm
             Matrix=224*224
             NAQ=1
             Time=11min11sec
             Fine Recon&Mid Sliceを使用


 29歳 女性

 
29歳 女性


【まとめ】

・Real-IR法では今まで3D画像の撮像が出来なっかたが、今回3Dシーケンスを使用できるようになりALATOVIEWのMPR処理にて任意断面の観察が可能になった。

・ルーチン検査では描出しにくかった断面なども、3Dデータを収集していれば撮像終了後でも
各病変に対して描出能が良い断面の観察が可能となった。

・画像再構成断面厚の任意な厚さに変えられるため病変に合わせた再構成が可能となった。

・これらの結果、撮像終了後複数の複合病変(半月板損傷及び前十字靱帯、後十字靱帯損傷)の観察をそれぞれの病変に合わせた断面による診断が可能となった。

【結語】
従来、Real-IR法では3D撮像が出来なかったが、今回新たに3Dシーケンスを使用しALATOVIEW処理にて任意断面の観察が可能になったため、関節内の描出能が向上すると思われた。