Perfusion CTにおけるCBF
 信頼を高めるための検討


東邦大学医学部付属大森病院
中央放射線部
○宮地 徹 池田 健 中野 秀治



目的


 Perfusion CTで得られたデータを基にして算出される脳循環血液量(Cerebral Blood Flow 以下 CBF)の信頼性を高めるため、今回は実測値のガンマ関数近似について検討した。


方法

 平成13年1月からのXe-CTとPerfusion CTを同時に行った71症例に対し、Perfusion CTから得られたデータをガンマ関数近似して算出したCBF(以下 Pf-CBF)と、実測値から算出したCBF-Original(以下 Pf-CBFO)をXe-CTにより測定したCBF(以下Xe-CBF)と比較検討した。




Fig.1 ROIの設定



原理
Ca : 動脈の造影剤濃度
Cv: 組織の造影剤濃度



実測値とガンマ関数近似値がほぼ等しい場合

Pf-CBF

Pf-CBFO



実測点とガンマ関数近似値が離れている場合

Pf-CBF

Pf-CBFO


使用機器

X線CT装置    TOSHIBA Xviger Laudator
造影剤注入装置  根本杏林堂 オートエンハンス
A-60
Xe
ガス吸入装置  安西メディカル製 XETRON-X画像
解析装置     安西メディカル製 
AZ-7000W


Perfusion-CTのデータ収集条件

 撮影条件は120kV200mA です造影剤Iomeprol-300を用い、総量30ml秒間9mlで急速注入しtime delay 5秒、1秒スキャン1秒インタ-バルで15スキャン、その後1秒スキャン3秒インタ-バルで5スキャンの計20スキャンを行った。



Xe-CTのデ−タ収集条件

 撮影条件は120kV200mA2秒スキャン。
吸入Xeガス濃度は30%で、吸入時間4分、洗い出し時間5分の計9分間に、吸入開始直前の1スキャンを含めて1分毎に1スキャンの計10スキャンを3断面に対して行った。


Fig.2 Pf-CBFXe-CBFの相関関係


Fig.3 Pf-CBFOとXe-CBFの相関関係


結論・考察
 
 結果よりPf-CBFの方がXe-CBFとの相関が高いことが解った。
Perfusion CTは最大傾斜からCBFを算出しているが、 ノイズやアーチファクトの影響を受けやすく、 ガンマ関数近似の補正を行っていないPf-CBFOは データ数も少ないことから相関が下がったと思われる。
 より細かいデータ収集を行うことが出来れば、更に Pf-CBFの信頼性も高まると考えられる。しかし、 エックス線管の熱容量や患者さんへの被曝の問題、 データ数の制限もあるので、本方法のようにPerfusion CTでガンマ関数近似の補正を行えば十分有用であると言える。


結語
 
 Perfusion CTはXe-CTの難点である検査時間、
操作の煩雑さ、Xeガスの麻酔作用からの不快感 という問題がなく比較的簡便であり、診断に 有用なFunctional imageの作成も出来る。
 また、救急患者などXe-CTの行えない症例には 検査の代用の手段としても考えられる。