大学院生として当研究室で研究を希望する人へ

 

1年生と2年生は募集はできません

 

残念ながら、私の定年退職が近いために、大学院生の募集は現3年生が最後です。その代わり、生物学科には若くて優秀な教員がたくさんいますので、その様なラボの大学院を目指して下さい。仮に、卒研配属でうちになっても大学院から違う教員に指導してもらうことが可能です。

 

以下は一般的な話です。

内部進学の場合は推薦入学を強く奨めます。それは、実際の入試が少し早くに行われて且つ筆記試験がありませんから、よけいな院試の勉強に時間を費やす必要がなく、その分を研究に専念出来るからです。これによって一般入試によって入学する場合よりも遥かに研究が進むため、大学院進学後の就職活動もよりしやすくなります。ただし内部進学には制約があります。これは専願みたいなものですから、他大学の大学院を受けることは出来なくなります。また、成績が上位の学生だけ受験可能ですから、1年生の早いうちから頑張って欲しいです。

 

よ〜く考えてみよう!

僕個人的には理科系の大学に来て学部の4年だけで卒業してしまうのは、正直言って理解出来ません。大学院で得られることは社会に出てから得られるものとは違い、二度と得ることが出来ない貴重なものです。社会人入学による大学院の制度もありますが、感性の豊かな若いうちに研究というものに打ち込むことによってのみ得られるものは何事にも代え難いものです。

 

ちなみに、修士課程程度であれば大学院を出たからといって就職に不利になることはありません。むしろ、最近では修士を持っている方が就職の幅が広がり、生物学専攻でも就職率は毎年ほぼ100%で、学部生よりも早く内定を得ています。大学院を出ると初任給も違いますし、幹部候補になり得ますから、生涯に得られる給与も結局多いと言われています。昨今は、いろんな職種で専門化しているため特に理工系では新規採用者にしめる大学院生の割合が増加しています。今や、国立大学の大きなところでは70〜80%が大学院に進学するところもあります。就職活動するときに、学部卒も大学院卒も関係なく行いますから、職種によっては大学院生でないととても太刀打ち出来ないのは明白です。また、理科教員を目指すのであれば、なおさら大学院を修了して欲しいと思います。個人的な感想で申し訳ないですが、大学院を出た場合とそうでない場合とでは教えられる内容の深みが違うのはどうしようもないことです。実際に研究生活を体験した教員の話は非常に魅力的に感じた記憶があります。

 

日本では博士号取得者の評価が低すぎて、就職先がなかなか見つからないという話も聞きます。それでも状況は何十年前よりも遥かに改善されて来ています。大学の教員のようなアカデミックポストについてはそうでもないかも知れませんが、活躍の場が徐々にではありますがふえて来ています。博士後期課程への更なる進学を希望する場合には、修士課程で学術論文を発表するチャンスが増えるために学術振興会の特別研究員制度に応募して採用される可能性が出てきます。当研究室で博士後期課程に進学した院生はいずれも特別研究員に採用され、博士後期課程に給与と研究費をもらいながら研究し、今は大学の教員になっています。

 

当研究室から他大学の大学院を受験することももちろん認めています。教員として、学生が最もやりたいことを最高の環境でしたいという希望を奪う権利はありません。しかしながら、安易に名前だけで国立大学の大学院を目指すのは考えものです。1年半の卒業研究の成果をリセットして(つまりは捨て去ってまで)新たなテーマで(データが何もない状態で)研究を始めるに値するかどうかをよく考えるべきです。違う大学の大学院へは行ったけど、就職してみたら同じ会社だったという例もあります。要は、自分が2年くらい過ごすところですから、研究内容も、周りのメンバーも環境もそこの先生もいろいろなことが自分にとって最適かどうかをよく考えるべきです。はじめから外部進学を希望しているのであれば、外研生として希望する研究室で卒研を始めるというのも手かもしれません。

 

外部からの受験を希望する場合は、一般入試の他に特別選抜入試、社会人及び外国人入試というものがあります。詳しくは東邦大学の入試広報室に募集要項を請求して下さい。大学のホームページにも載っています。ちなみに、東邦大学大学院理学研究科の授業料は50万円、入学金10万円、検定料2万円(令和4年度)です。国立大学の大学院の授業料は53.58万円、入学金28.2~、検定料3万円ですから、東邦大学の方が安いというのを気に留めておいて下さい。

 

大学院の研究は論文として世に知らせるところまでが1つの仕事です。実験だけをしていれば良いというものではありません。いろいろな能力を身につけなければいけません。学会発表で日本各地に出向いたり、国際学会の発表で外国にまで行ったりということもあります。これらを嫌なことと受け止めるのか、それとも恩恵と受け止めるのかは本人次第です。研究材料に対する愛着と、研究そのものが好きであれば乗り越えられるはずです。