微生物学

微生物学

３年生春学期　火曜１時限目

微生物とは肉眼で見ることが出来ない小さい生き物を全てです。あるものは真核生物に属し、またあるものは原核生物（細菌や藍藻）に属します。そのどちらの範疇にも入らない古細菌という生き物も存在します。生物としての機能を備えていないウイルスも存在します。また、カビやキノコのように肉眼ではっきり確認できるものもあります。これらを全て扱うのが微生物学です。本講義では、微生物学の基礎的なことだけを習います。生物学科の学生が習うべきこととして、重要なのは生物の多様性です。応用に重きを置くのではなく、その基礎をしっかり学習することを目的とします。

参考書：

１）「微生物学入門」（多田宜文、渡辺雅保共著）コロナ社、1998年

２）「新微生物学」（奥脇義行編著）建帛社

３）「微生物工学入門」（新家龍、今中忠行共著）朝倉書店、1991年

４）「現代微生物学入門」（南嶋洋一、水口康雄、中山宏明共著）南山堂、2002年

以下に講義の内容とキーワードを載せます。キーワードは全て理解するように努力して下さい。

（１）微生物学の定義と歴史

Key words: Leeuwenhoek、自然発生説、発酵論争、パスツール効果、ヘンレの原則、コッホの４原則

（２）微生物の役割

Key words: 物質循環、炭酸固定、硫黄酸化細菌、硫酸還元細菌、窒素固定細菌、硝化

（３）微生物の取扱い：培地の種類、培養法

Key words: 培養、肉エキス、ペプトン、増強成分、液体培地、固体培地、平板培地、高層培地、斜面培地、半斜面培地、半流動寒天、輸送培地、シードスワブ、増菌培地、非選択培地、チオグリコレート培地、GAM寒天培地、分離培地、鑑別培地、BTB乳糖加寒天培地、選択培地、SS寒天培地、TCBS寒天培地、確認培地、TSI培地、LIM培地、自然培地、合成培地、最小培地、常在菌、分離培養、画線培養法、塗抹、希釈平板法、純培養、継代培養、嫌気培養、高層培地法、嫌気ジャー、触媒法、嫌気チャンバー、炭酸ガス培養

（４）微生物の保存法

Key words:グリセロール凍結法、凍結乾燥法

（５）殺菌法：物理的方法　

Key words: 煮沸消毒、流通蒸気法、間歇法、パスツリゼーション、超高温加熱殺菌法、殺菌灯

（６）殺菌法：化学的方法（いろいろな消毒剤）

Key words: 次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉、クロラミンT、ヨードチンキ、ルゴール液、ヨードホア、ポピドンヨード（イソジン）、フェノール、クレゾール石けん、エタノール、イソプロパノール、グルコン酸クロルヘキシジン、生体消毒薬、グルタラール、フタラール、オキシドール、逆性石けん、塩化ベンザルコニウム、オスバン、ウェルパス、塩化ベンゼトニウム、ハイアミン、塩化アルキルジアミノグリシン、テゴ－51

（７）滅菌法

Key words: 火炎滅菌、乾熱滅菌、オートクレーブ、濾過滅菌、放射線照射滅菌、EOG滅菌、低温プラズマ滅菌

（８）細菌の構造（形態と基本的構造）

Key words: 球菌、ランセット状、双球菌、四連球菌、八連球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、桿菌、球桿菌、連鎖桿菌、柵状菌、コリネ型菌、らせん菌、弧菌、スピロヒータ、核様体、細胞質内顆粒、異染小体、ボルチン顆粒、トルイジンブルー、メチレンブルー、脂質顆粒、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸（PHB）、スダンブラック、プラスミド

（９）細菌の構造（グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁、その他の構造）

Key words: ペプチドグリカン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルムラミン酸、β-1,4結合、テトラペプチド側鎖、ペプチド結合、横糸、ペプチド結合、γカルボキシル基、εアミノ基、A-タイプ横糸、B-タイプ横糸、グラム陽性菌、テイコ酸、リポテイコ酸、グリセロールリン酸、リビトールリン酸、ポリグリセロールリン酸、ポリリビトールリン酸、タイクロン酸、グラム陰性菌、外膜、内膜、ペリプラズム、リポロリサッカライド（LPS）、エンドトキシン（内毒素）、リピド A、KDO（2-ケト-3-デオキシオクトン酸）、７炭糖（L-glycero-D-mannoheptose）、Inner Core、pentasaccharaide、Outer Core、O-side chain、O-抗原、ポーリン、鞭毛、フラジェリン、H抗原、線毛（繊毛）、ピリン、接合、性線毛、莢膜、粘液層、K抗原、芽胞、メソソーム

（10）細菌の染色法、増殖に及ぼす物理的条件

Key words: 風乾、火炎固定、グラム染色、Huckerの変法、単染色、抗酸染色、抗酸菌、ミコール酸、Ziehl-Neelsen法、芽胞染色、莢膜染色、鞭毛染色、異染体染色

（11）細菌の増殖に及ぼす物理的条件、成長と分裂、増殖曲線、菌数の測定、細菌の分類

Key words: 水分活性（Aw）、高温菌、中温菌、低温菌、好冷菌、好気性細菌（偏性好気性細菌）、通性嫌気性細菌、微好気性細菌、嫌気性細菌（偏性嫌気性細菌）、非好塩菌、食塩耐性細菌、好塩細菌、低度好塩菌、中等度好塩細菌、高度好塩細菌（偏性好塩細菌）、紅色細菌

（12）細菌の成長と分裂、増殖曲線、菌数の測定

Key words: ２分裂、世代、世代時間、増殖曲線、誘導期、対数増殖期、静止期（定常期）、死滅期（衰退期）、最大生菌数、全菌数、菌数計算盤、Thomaの計算盤、ペトローフ-ハウザーの計算盤

（13）細菌の分類

Key words: 　Bergeyの細菌分類学便覧、Pseudomonas属、Azotobactor属、Rhizobium属、Enterobacteriaceae科、Escherichia属、Salmonella属、Shigella属、Serratia属、Vibtionaceae科、Micrococcaceae科、Staphylococcus属、Streptococcaceae科、Bacillaceae科、Bacillus属、Clostridium属、Sporosarcina属、Lactobacillus属、コリネ型細菌、Corynebacterium属、Bifidobacterium属、放線菌、栄養菌糸、気中菌糸（気菌糸）、Streptomyces属、抗生物質、Frankia属、窒素固定

（14）微生物の起源、原核生物と真核生物

Key words: 酸素革命、細胞内共生、相利共生、偏利共生、寄生、VBNC微生物、チューブワーム、シロアリ共生系、アブラムシ内部共生菌、Buchnera、外生根菌、クロマトフォア

（15）リケッチア、クラミジア、マイコプラズマ

Key words: リケッチア、ベクター、リザーバー、ツツガムシ病、発疹チフス、日本紅斑熱、トラコーマ、オウム病、性行為感染症（STD）、基本小体、網様体、封入体、滑走運動

（16）古細菌

Key words: 第３の生物、Woese、エステル結合、エーテル結合、エーテル型脂質、シュードムレイン、UψC、フォルミルメチオニン、バクテリオロドプシン、ドメイン、Crenarchea門、Euryarchea門、高度好熱菌、温泉微生物、Sulfolobus、硫黄栄養、Thermoplasma、Thermoproteus、高度好塩菌、塩湖、カロチノイド、紫膜、Halobacterium、Halococcus、メタン生成古細菌、メタン発酵、Methanobacterium、Methanococcus

（17）微生物の代謝

Key words: 異化、同化、酸化、還元、呼吸、発酵、Emden-Myerhof-Parnas経路、Entner-Doudoroff経路、ペントースリ酸化経路（６炭糖リン酸化経路、ホスホグルコン酸回路、Warburg-Dickens経路）、グリオキシル酸回路、電子受容体、硝酸呼吸（脱窒、異化型硝酸還元）、アミノ基転移反応、脱アミノ反応、同化的硝酸還元

（18）代謝による微生物の分類

Key words: 従属栄養、独立栄養、光合成独立栄養、化学合成独立栄養、アンモニア酸化細菌（亜硝酸細菌）、亜硝酸酸化細菌（硝酸細菌）、硝化細菌、硫黄酸化細菌、硫黄栄養、硫黄脱窒、鉄酸化細菌、バクテリアリーチング、メタン酸化細菌、シアノバクテリア、キノン型反応中心、紅色細菌（紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌）、緑色非硫黄細菌、鉄硫黄型反応中心、緑色硫黄細菌、ヘリオバクテリア、低栄養細菌（貧栄養細菌）

（19）ウイルスの構造、分類、増殖様式

Key words: 偏性細胞寄生性、ビリオン、キャプシド、ヌクレオキャプシド、アデノウイルス、capsomere、penton、hexon、spike、knob、遺伝子治療、脳炎、ヘルペスウイルス、envelope、core、タバコモザイクウイルス（TMV）、RNAゲノム、インフルエンザウイルス、分節ヌクレオキャプシド、HAスパイク、NAスパイク、バクテリオファージ、virulent phage、temperate phage、溶原化、形質導入