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東邦大学薬学部見本園

カラス
ビシャク
日本全土の畑で雑草のごとく生えている多年草です。地下深く径0.5〜1cmくらいの白い球茎があり、その先端から地上に長い柄のある葉を出します。草丈は30〜60cm。葉は3枚の小葉からなっています。葉の付け根にムカゴをつけます。球茎から葉より長い花茎を伸ばしその先に緑色の6〜7cmの筒状の苞を出して、その中に上部には雄花を、下部には雌花をつけます。花軸は更に伸びて鞭状の付属物となります。雌花が先に咲きその腐肉の匂いでハエを呼び込みます。しかし一度入ったら出られないように返しのついた構造になっているので、ハエは外へ出られずにいる中に、やがて雄花が咲くと苞の下部に隙間が出来て、漸く外へ出られるようになります。匂いにつられて次の花に入り花粉をつけるのです。しかし同じサトイモ科のマムシグサやテンナンショウは、それぞれが雄株と雌株で分かれて、雄株には苞に隙間があり外へでられるのですが、雌株には隙間はなく、中で閉じ込められて死を待つばかりとなります。カラスビシャクの繁殖は種子、ムカゴ、球茎と重ねて準備しているので、畑であのように繁茂するのでしょう。 花の形を柄杓(ひしゃく)に見立て、人が使うには小さいので、烏の名を当ててカラスビシャクとなったと云われています。別名は「へそくり」と云いますが、農家の女性が、球茎を拾い集めて薬屋の集荷人に売って小遣い稼ぎをしたことに由来します。
学   名 Pinellia ternata 
科   名 サトイモ科
生 薬 名 半夏(ハンゲ)
漢   方 単味では用いず、漢方処方で用います。
利 用 部 位 球茎
利 用 法 球茎⇒夏、花のある時期に吸気を堀り採り、水に砂を入れてかき混ぜながら外皮を取り除いてから、水洗いの後日干しにします。
効   能 漢方処方⇒鎮吐、鎮咳、去痰、健胃消化薬に配合されています。 民間では⇒脚気、胃腸病、神経痛、毛生え薬などに。 
成   分 アミノ酸類、コリン、脂肪酸類、ベータ・シトステロール他。 


カラスビシャク若い芽 カラスビシャク 苞の下部
ムカゴ 球茎 主薬・半夏

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