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東邦大学薬学部見本園

トウキ
薬用として人家に栽培される芳香性の多年草です。草丈は40〜90cm、茎は直立してよく分枝し茎と葉柄は紫色を帯びています。葉は2回3出の複葉、葉色は濃く光沢があり、夏に茎の先に白色の小さな花を傘を開いたような状態の複散形花序につけ、全体に芳香があります。日本薬局方では普通トウキと言えばニホントウキA. acutiloba(ヤマトトウキ、オオブカトウキ)とホッカイトウキA. acutiloba var. sugiyamaeを指します。ホッカイトウキは草丈が高く茎と葉柄が緑色をしています。オオブカトウキは日本の山野に自するミヤマトウキAngelica sinensis var.iwatensisを奈良県の大深地方で大々的に栽培されていたので、オオブカトウキと呼ばれています。現在では大深では栽培されていませんが、植物名として名前は残っています。産地では和歌山県や岡山県、長野県といった地域が知られています。
中国から渡来した漢方は、日本特有の使い方がされてきました。このため、中国と日本で同じ名称を持つ植物でも、全く異なる別種ということが多々あり、中国で当帰といえば、カラトウキA.sinensis唐当帰を示します。
名前の由来は、子供が出来ないため実家に戻された嫁が当帰を服用して妊娠出来る健康体となったので婚家に「当(まさ)に帰る」ことが出来たとか、元気になった嫁に実家の母から「当に帰るべし」と言われたという説もあります。ほかにも病弱で子供が出来ないので、夫に浮気された嫁が、当帰を服用し元気になり「夫、当に我が元へ帰るべし」と言ったという説もあります。それらのどれもが当帰が婦人薬として頻用されたことを示しています。現在でも漢方では臨床に頻用される婦人薬の主薬です。
学   名 Angelica acutiloba 
科   名 セリ科
生 薬 名 当帰(トウキ)
漢   方 当帰芍薬散
利 用 部 位 根⇒3、4年目の根を秋に掘りあげ、水洗い後、乾燥しやすく薄く切って、風通しよく陰干しにします。
利 用 法 当帰芍薬散の処方で1日3回食後に服用します。
効   能 強壮、頭痛、めまい、鎮痛、月経不順、補血(耳鳴り、動悸、冷え性、貧血下腹部の痛み等にも)
成   分 精油⇒リグスチリド、サフロール、n-ブチリデンフタリド
脂肪酸⇒リノール酸、パルミチン酸
クマリン誘導体⇒ベルガプテン、スコポレチン


幼株 成株 種子

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