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東邦大学薬学部見本園

チョウセン
アサガオ

有毒
江戸時代の医師、華岡青洲が、チョウセンアサガオの調合薬で、全身麻酔を施して乳がんの手術を行ったのは1805年でした。エーテルによって全身麻酔の手術がアメリカで行われたのは1842年ですから、青洲の手術はそれに40年も先駆けたことになります。その時使ったのは、曼荼羅華(まんだらげ)と呼ばれていたインド原産のダツラ・メテル、本種だったようです。チョウセンアサガオを主とし、これにトリカブト、ヨロイグサ、トウキ、センキュウ、カラスビシャクそしてマムシグサ類などを調合して「通仙散」という麻酔薬を開発し、手術したのです。
チョウセンアサガオは、熱帯アジア原産の一年草又は多年草で、草丈は1mほど。茎はよく枝分かれします。葉は長さは10〜20cm、幅は10cm内外もある大型で、卵形ですが、シロバナヨウシュチョウセンアサガオの葉には不規則な鋸歯があります。夏から秋にかけて長さ10〜15cmの白または薄紫色の筒状の花を午後、上向きに開きます。球形で刺のある朔果(さくか)には、褐色の種子が多数入っています。日本には江戸時代に、中国を経由して1684年に薬草として渡来しました。中国の明時代に著された「本草綱目」に収載された漢方を参考にして曼荼羅華配合の漢方処方をしたのは、京都の花井才臓と弟子の大西春信であったそうで、清州はそれを参考にして曼荼羅華の用量を増やし、溶媒を酒から湯煎にかえて体内吸収速度を抑えて安全性を高めた「通仙散」を創ったそうです。
名前の由来は花がアサガオに似ていることで、チョウセンとは特定の地域を指すのではなく単に海外からきたものという意味でつけられたとされています。近縁種には、半ば野生化したのもあると云われるヨウシュチョウセンアサガオやシロバナチョウセンアサガオ、アメリカチョウセンアサガオ、ケチョウセンアサガオ等がありますが、判別は難しく、現在では薬草園で栽培されている程度です。
キダチチョウセンアサガオとの違いは、本種は日本で栽培すると一年草となり、上向きに花をつける事です。別名は曼荼羅華、キチガイナスビ。
学   名 Datura metel 
科   名 ナス科
生 薬 名 種子⇒曼荼羅子(マンダラシ)
乾燥葉⇒曼荼羅葉(マンダラヨウ)
利 用 部 位 全草が有毒
効   能 麻酔剤のプロム水素酸スコポラミンの製薬原料として用いられる
成   分 有毒成分:ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどアルカイド系


   
種類 チョウセン
アサガオ
アメリカチョウセン
アサガオ
ケチョウセン
アサガオ
ヨウシュチョウセン
アサガオ
学名 Datura metel Datura meteloides Datura inoxia Datura stramonium

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