研究について

1. 始めに・・・ご挨拶

 本研究室は2007年4月に東邦大学 理学部 産学連携講座 機能物質創製研究室として発足しました。
 私たちの研究室では有機合成化学を主体として、「産業上有用となりうる物質の創製」を目指した新規物質の開発を主体とした研究を行っていきます。
 私は27年間、企業に於いて研究活動、研究マネージメント、会社経営の一端など様々な経験をしてきました。企業での「物づくり」の特徴としては高品質のものを安価で大量かつ安定的に供給できること、また、安全性の高い、環境に配慮した「物づくり」を目指すことです。このような視点での研究は大学ではあまりやっておりませんが、教育・研究の場においても非常に重要な意義を持つものと考えます。本研究室での研究は単に学問の深耕にとどまらず「物づくり」の仕方にこだわった研究スタイルをとります。

2. 研究室では
1. 研究室員に望むこと

 研究室では明るく楽しく研究にいそしんで欲しいと思います。不器用でも熱心な人を望んでいます。「好きこそ物の上手なれ」です。好きになれば理解度も早 くなり、また深耕度も高まります。わからない(判らない、解らない)ことは解るまで話をし、お互いの理解が得られることが人格の認め合いであり、お互いの 成長につながります。研究には欠かせない大事な点と考えています。
 また、学生時代に向山先生(現 (社)北里研究所)がよく仰っていた「真は新なり」の言葉は研究の本質であり、よく思い起こす言葉です。真摯な姿勢で研究をし、有機化学を大いに楽しみましょう。 (私の考えの一端です、参考まで)

2. 研究室で教えること
 有機合成化学を中心に関連する分野を教えます。有機合成化学では特に反応機構にこだわって議論をします。お勧めの本としては
  1.P. Sykes著,久保田尚志訳,「有機反応機構 第5版」,東京化学同人.
  2.H. O. House, 「Modern Organic Reaction 2nd ed.」], W. A. Benjamin, Inc.
  3.「演習で学ぶ有機反応機構」,有機合成化学協会編.
 また、研究室の皆さんには将来の研究活動、或いは化学物質に携わる社会人として身に付けていたほうが良い以下のことをOJT(On the Job Training)で教えます。
  1.知的財産権(特許等):知的財産権概要、特許の書き方など
  2.倫理・環境・安全:化学物質を扱う、作るうえでの基礎知識
  3.工業的化学物質の製造方法

3. どんな研究をするのか

 私たちの研究室では「新規な酸化・還元系物質の創製と科学的意義の探求」を行い、産業上で応用できるレベルを目指した研究を主体としております。

 酸化還元反応は基本的に物質間の電子の授受を伴う反応であり、地球における生命の誕生、進化に深く関っております。更には我々生命体の中でも「酸化・還元」が絡んだ様々な化学反応(酵素反応)が行われており、これによって生体の恒常性が保たれています。

 一方、ユビキタ ス社会の到来を感じさせる近年の産業の発展には新規な機能性物質の寄与が大きく、とりわけ情報材料関連における発展が著しい。この分野で「酸化・還元」を 考えると各種のクロミック物質や機能性色素、有機半導体、導電体など、基本骨格に酸化・還元系の分子構造を包含する化合物が殆どである。

 従って、中心となる研究はπ共役系分子の研究であり、簡単な分子構造或いは部分構造の意味を考えながら必要な機能を足して目的とする機能分子を作り上げることです。

 研究テーマとしては大きく分けると以下の3つに分けられます。

   1.電子伝達系機能性材料の合成研究

   2.生理活性物質の合成研究(今までの研究事例を御覧ください

   3.工業的に有用な素反応の開発研究

 研究室で作る物質の展開は必要に応じて学内外の大学研究機関等との共同研究、或いは産業界との共同研究等により研究の意味・意義の深耕を計ります。

4. 今までの共同研究先(大学のみ:順不同)
北海道大学、北海道薬科大学、札幌医科大学、群馬大学、東邦大学、東京工業大学、聖マリアンナ医大、金沢大学、名城大学、岐阜薬科大学、京都大学、京都薬科大学、広島大学、徳島文理大学、鹿児島大学など