可換代数と組合せ論セミナー
Commutative Algebra and Combinatorics Seminar
可換代数と組合せ論セミナーは,可換環論や組合せ論,およびその周辺分野の専門家をお招きし,大学院生でも理解できるような基礎的な内容から,最新の研究結果までをじっくり時間をかけてお話ししていただく勉強会形式のセミナーです.
興味がある方は誰でも参加可能です.
次回のセミナー
第12回
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日時:2025年12月13日(土) 13:30~17:00
会場:東邦大学 習志野キャンパス 理学部III号館3階 3304教室
講演者:柳川浩二(関西大学)
タイトル:有理数の q-変形の代数と組合せ論
要旨
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任鑫氏、小木曽岳義氏、宮本賢伍氏、和久井道久氏との共同研究に基づく
正整数 n の q-類似 [n]_q=1+q+…+q^{n-1}は古典的であるが、近年 Morier-Genoud と Ovsienko は、
有理数 α の q-類似 [α]_q を導入した。これは q=1 を代入すると α になる q の有理関数であるが、
ある種の2-Clabi-Yau 圏、有理絡み目の Jones 多項式など、様々な話題に応用されている。
[α]_q は 、αの連分数展開と fence poset を用いて組合せ論的に計算できるが、モジュラー群
PSL(2,Z) の q-類似 PSL_q(2,Z)を用いても求められる。本講演では、次の3つのテーマを主として扱う。
(1) 既約分数 r/s (>0) の q-変形 [r/s]_q の「分母多項式」は q=1 を代入して s となるモニック多項式
で、r/s の小数部分のみに依存するが、 r r' ≡ -1 (mod s) でも r/s と r'/s の分母多項式は一致する
などやや複雑である。この種の性質を深掘りする。
(2) Leclere と Morier-Genoudは PSL_q(2,Z)の各元の trace が常に回文多項式であることを示したが、
本講演では、これの別証明を与え、応用として有理絡み目の正規化 Jones 多項式の組合せ論的性質
を考察する。
(3) [r/s]_q の分母多項式 を S(q) としたとき、"s は4の倍数 ⇔ S(√-1))=0" であり、S(-1), S(ω)
(ω は1の原始3乗根)についても同様のことが成立している。 また、PSL_q(2,Z) に q=-1,ω, √-1 を代入すると
有限群となる。これらをさらに深掘りする。
次回以降のセミナー
世話人
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土谷昭善(東邦大学理学部情報科学科)
長峰孝典(日本大学理工学部数学科)
連絡先
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土谷昭善(akiyoshi "at" is.sci.toho-u.ac.jp)
support info.
本セミナーは以下の助成を受けて運営しています.
- 若手研究 22K13890「非特異格子凸多面体に関連する代数的および組合せ論的諸問題の解決」(研究代表者:土谷昭善)
若手研究 25K17239「特殊線形群の作用を持つアフィン代数多様体の分類を利用した消去問題の研究」(研究代表者:長峰孝典)