6回目:述語論理
6.1 述語
変数 (variable) $x$を含む命題$P(x)$を述語という.
述語は変数$x$に具体的な値を代入することによって命題となる.
変数を増やして$P(x_1,x_2,\ldots,x_n)$という命題も考えられる.
6.2 全称命題と存在命題
述語$P(x)$に対して,「集合$A$のすべての$x$について$P(x)$である」という命題を全称命題といい,
$\forall x \in A (P(x))$,または単に$\forall x(P(x))$と書く.$\forall$は全称記号と呼ばれる(for allを表す).
例えば,$x$が$A=\{1,2,3,4,5\}$を動くなら,
\[
\forall x \in A (P(x)) \Leftrightarrow P(1) \land P(2) \land P(3) \land P(4) \land P(5)
\]
を意味している.
述語$P(x)$に対して,「集合$A$のある$x$について$P(x)$である」という命題を存在命題といい,
$\exists x \in A (P(x))$,または単に$\exists x(P(x))$と書く.$\exists$は存在記号と呼ばれる(existを表す).
例えば,$x$が$A=\{1,2,3,4,5\}$を動くなら,
\[
\exists x \in A (P(x)) \Leftrightarrow P(1) \lor P(2) \lor P(3) \lor P(4) \lor P(5)
\]
を意味している.
よって,次の推論が成り立つ.
\[
\forall x (P(x)) \Rightarrow \exists x (P(x))
\]
複数の変数に対して$\forall$または$\exists$が連続で出てくる場合,例えば,$\forall x( \exists y ( P(x,y)))$の場合は$\forall x \exists y (P(x,y))$のように記号の前のカッコを省略する.
複数の変数に対して$\forall$と$\exists$の両方が出てくる場合,順番が非常に重要となる.例えば,
\[
\forall x \exists y (P(x,y))
\]
は「すべての$x$について,その$x$ごと対して,ある$y$について$P(x,y)$である」
ということであり,
\[
\exists x \forall y (P(x,y))
\]
は「ある$x$について,少なくともその$x$に対して,すべての$y$について$P(x,y)$である」
ということである.