7回目:命題の証明
7.1 証明とは
数学における証明とは,命題が常に真となることを導くことである. たとえば,命題$P$を「勉強した」,命題$Q$を「数学の試験に失敗した」,命題$R$を「バスケットボールをした」とするとき, 次の3つの前提条件- 勉強したならば,数学の試験に失敗しなかった
- バスケットボールをしていなかったならば,勉強した
- 数学の試験に失敗した
7.2 三段論法
「$P \Rightarrow Q$である,かつ,$Q \Rightarrow R$であれば,$P \Rightarrow R$である」という論法は三段論法と呼ばれる.ここの$P\Rightarrow Q$などは単に$P \rightarrow Q$が真であるという意味で使われていると考えて良い. すなわち,以下の推論が成り立つ(前々回の演習問題で確かめた). \[ (P \rightarrow Q) \land (Q \rightarrow R) \Rightarrow (P \rightarrow R) \]7.3 対偶による証明
すでに述べたように,命題$P \rightarrow Q$とその対偶$\lnot Q \rightarrow \lnot P$は真偽が常に一致する. したがって,$P \Rightarrow Q$を証明する代わりに,その対偶$\lnot Q \Rightarrow \lnot P$を証明してもよい.7.4 同値の証明
$P \Leftrightarrow Q$は「$P \Rightarrow Q$である,かつ$Q \Rightarrow P$である」を意味するので,片方ずつ証明すれば良い.この他にも,対偶を考えると
「$P \Rightarrow Q$である,かつ,$\lnot P \Rightarrow \lnot Q$である」
を示しても良い.
複数個の同値$P \Leftrightarrow Q \Leftrightarrow R$を示すには,例えば,
「$P \Rightarrow Q$である,かつ,$Q \Rightarrow R$である,かつ,$R \Rightarrow P$である」
を示すなどの方法がある.