研究内容

7. 2光子励起の効率を評価する

2光子励起によってケージ解除ができれば、ケージド化合物の空間分解能をさらに活かすことができる(Denk, W. et al. 1990)。2光子励起とは、高密度レーザー光照射による非線形な2光子吸収過程を利用したもので、紫外部に吸収を持つクロモフォアをその約2倍の波長である赤外光照射によって励起する方法である。極微少な領域のみが励起されるので,深さ方向にも高い空間分解能を得ることができる。2光子励起法には次のような利点がある。1)励起領域自体が小さいので,光退色(photo bleaching)が抑えられる,2)同様の理由で,一重項酸素発生等による細胞の光損傷(photo damage)の危険性も減る,3)組織等による励起光の散乱がより小さいので深部まで励起光が届く。フルオレセインやGFPなど、代表的な蛍光性分子に関しては、2光子励起の基礎的データもほぼ揃っており、2光子励起蛍光イメージングは、実用の域に達していると言ってよい。これに対して、ケージド化合物に関しては、その有用性が繰り返し指摘されているにもかかわらず、わずか数例が報告されているのみで、2光子励起の利点を活かすような研究環境はまだ整っていない。その主な理由は、2光子励起に適したケージド化合物がなかったからである。極超短パルス赤外レーザーとLD励起固体レーザーを組み合わせることで、Bhc-ケージド化合物を効率良く2光子励起し、ケージ解除反応させる事に成功した。さらに、この効率を定量 的に評価し、比較検討するためのシステムを構築した。


お問い合わせ:東邦大学理学部生物分子科学科 古田寿昭
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